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日本応用藻類学会第23回大会
Cladosiphon属由来フコイダンの抗腫瘍効果
2025年9月13~14日に熊本県立大学【熊本】で開催された、日本応用藻類学会第23回大会 企画シンポジウム「海藻多糖類の可能性を拓く:九州発・健康と機能性の最前線」において、当会の理事でもある照屋輝一郎先生(九州大学大学院 農学研究院 生命機能科学部門)がオーラルで発表をされました。
トンガ産モズク(Cladosiphon novae-caledoniae)由来の「酵素消化低分子化フコイダン(LMF)」が示す抗腫瘍作用。LMFはフコースを主成分とする硫酸化多糖フコイダンを低分子化したもので、約85%が分子量3,000未満という特徴を持ちます。基礎研究では、各種がん細胞の増殖を選択的に抑え、アポトーシス(細胞死)を誘導すること、血管新生(VEGF)や浸潤・転移関連因子(MMP-2/9)の発現低下、免疫チェックポイント分子(PD-L1/PD-L2)の発現抑制など、複合的な作用が示されました。担がんマウスでは生存曲線の改善が示され、臨床報告として肝細胞がんStage 4bの縮小例も紹介されています。さらに、白金製剤シスプラチンとの併用では腫瘍細胞への効果増強と、正常細胞に対する毒性緩和の可能性が示唆されました。これらはあくまで研究段階の知見であり、疾病の診断・治療を目的とするものではありませんが、海藻由来多糖の新たな可能性を示す成果として注目されています。
