代替医療によるがんの治療

がんに向き合う中で、人は必ず「何かできることはないか」と考えます。その過程で、標準治療とは異なる療法を紹介されたり、インターネット・書籍・知人の勧めに触れることがあります。これらは総称して代替医療と呼ばれます。
代替医療には、自然療法、食事療法、民間療法、特殊なサプリメントの高用量摂取、健康器具、特定理論に基づいた治療行為など、多種多様なものが含まれます。しかし、代替医療の多くは、科学的根拠や安全性の評価が十分ではなく、標準治療を中断・遅延することで結果的に悪影響を招く可能性があります。統合医療と代替医療は名前が似ていますが、理念は根本的に異なります。

統合医療と代替医療は「目的」が違う

比較軸	統合医療	代替医療
目的	標準治療を支えて効果を高め、身体環境を整える	標準治療の代わりに何かを行う
立場	標準治療と併用する前提	標準治療を置き換える
根拠	医学的データ、臨床研究、身体生理学	民間・経験・信念に依存することが多い
リスク	主治医と連携すれば比較的管理可能	標準治療が遅れる／進行・再発のリスク増大

代替医療が選択される背景には、「副作用がつらい」「治療に不安がある」「病院でできることがもうないと言われた」などの感情があります。その気持ちはとても自然であり、否定すべきではありません。だからこそ、誤った選択で治療の機会を失わないことが重要です。